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このセクションでは、専門分野外の研究者、これから研究を始められる若い学生、Stem Cellに興味のある方々に、Stem CellについてのFAQをご紹介します。
幹細胞ってどんなもの?
幹細胞(stem cell)は、必要とされる時期に必要とされる場所へ組織を作り上げる。幹細胞がないと、傷は治らないし、皮膚や血液を絶えず再生することもできず、受精卵が赤ん坊まで育つことも、赤ん坊が大人になることもない。幹細胞は、神経細胞や筋細胞、血液細胞など、体内でそれぞれの機能を果たせるように特殊化した、つまり生物学的にいうところの「分化した」細胞とはまったく異なっており、いうなれば体内に秘められた細胞供給源である。
受精卵は、酸素を運ぶ赤血球から電気的信号を伝える神経細胞や拍動する心筋細胞まで、体のあらゆる種類の細胞の源となることから、究極の幹細胞だといえる。しかしもちろん、これは一度にすべて起こるわけではない。受精卵は卵割と呼ばれる細胞分裂によって胚となり、それぞれの細胞がしだいに分化していく。
Top of pageES細胞(胚性幹細胞)はどこが特別なの?
ES細胞(胚性幹細胞, embryonic stem cell)からは、理論上は、どんな種類の組織でも大量に作り出すことができる。研究者たちはES細胞を使って発生や疾患の研究をしており、さらには、願わくばこれによって治療法を見つけ出したいと考えている。
ヒトのES細胞は、それ以上特殊化した細胞へ分化しない状態で数年にわたって実験室で継代培養できるが、これらの細胞に適切な条件を与えれば、人体のどの種類の細胞でも作り出すことができると考えられている。(マウスのES細胞からは、マウスの体にあるどの種類の細胞でも作り出せることが、既に実証されている。)
Top of page幹細胞によって医学は進歩する?
幹細胞は、大きく3つの点から医学に貢献できると考えられる。細胞を使った細胞療法、新薬発見、そして基礎的な科学知識を得るためである。細胞療法は、幹細胞、もしくは幹細胞から増殖させた細胞を使って、損傷した組織を置き換えたり再生させたりする治療法である。研究者たちは、幹細胞を使って疾患の発症機序を解明し、治療できそうな薬剤を見つけ出したいと考えている。
ES細胞を使うことで、疾患や外傷で失われてしまった分化の進んだ組織を作り出せる可能性もある。血液や皮膚のように絶えず細胞が新しく補充される組織では、おそらく幹細胞を直接補充することになるだろう。その他にも、幹細胞を使った治療法が模索されている疾患はたくさんあり、なかでも糖尿病やパーキンソン病、脊髄損傷、心疾患や視力・聴力低下などが筆頭にあげられる。
Top of pageES細胞のクローン作製と個体のクローン作製はどう違う?
治療目的のクローン作製(therapeutic cloning)では、特定の個体と同じ遺伝情報をもつES細胞の株(継代培養の可能な培養細胞)を作り出す。生殖目的のクローン作製(reproductive cloning)では、ある個体と同じ遺伝情報をもつ個体を新たに作り出す。
一部の人々は2つの理由から、核移植によってヒトES細胞を作り出すことに反対している。1つ目の理由は、この方法だと胚を破壊する(胚盤胞という段階で内部細胞塊を取り出してES細胞を得る)必要があることだ。もう1つの理由は、この方法で作り出されたクローン胚が、母体に移植されて育ち、赤ん坊が生まれてきてしまう可能性もあることだ。後者の手法は生殖目的のクローン作製と呼ばれ、すでに10種以上の哺乳類で成功しているが、おそらく胎盤が適切に形成できないために、成功例よりも失敗例のほうがまだ多い。いくつかの国ではヒトでの生殖目的のクローン作製が禁止されており(ただし米国では正式には禁止されていない)、大方の研究者はこうしたクローン作製を非倫理的なものだと考えている。少なくとも、これによってほぼ確実に、多数の流産が起こるだろうし、ひどく病弱な子どもが誕生するだろうという理由からである。
Top of page幹細胞研究の反対派と賛成派って
幹細胞研究の反対派の一部は、この研究がヒトの尊厳を侵害するものであり、命を奪うものだと主張している。賛成派は、苦痛や疾患の緩和はヒトの尊厳と幸福を高めるものであり、胚盤胞の破壊は人命を奪うことにはならないと主張している。
ES細胞研究の反対派の大部分は、たとえ妊娠に至る運命になくても受精後2日から6日の胚を破壊することは間違っていると考えている。残りの反対派は、もしES細胞を研究することで疾患の治療に結びつく可能性があるなら、この研究を行わないのは人の道に外れることになると考えている。この2つの反対派グループは、初期の胚が、胎児や成人と同じ保護を受けるに値するかどうかという点で、意見を異にしている。
物議を醸しているもう1つの問題として、ヒトの未受精卵の入手問題がある。女性から未受精卵を採取するには、一連の投薬と外科的処置が必要となる。未受精卵を提供する女性は、小さいとはいえ死のリスクを除くことはできず、また、不快感も味わうことになるだろう。ほとんどの国では、不妊カップルのために未受精卵を提供する女性は報酬を得ることが可能だが、多くの倫理学者や法律家、女性の権利活動家は、研究用の未受精卵提供にには、報酬を支払うべきではないと考えている。その他、一部の倫理学者や法律家、女性の権利活動家の中には、未受精卵提供女性に対しては、目的がなんであれ、少なくとも仕事を休んで費やした時間その他の費用を補償すべきだと考えているものもいる。
Top of page幹細胞研究はどんな指針で規制されている?
幹細胞研究に関する指針は、国や地域、大学によってさまざまである。こうした指針によって、ヒト胚そのものやヒト胚から作られた細胞に関する研究をどのように行うか、また、どのような研究資金の供与を受けられるかが規定される。その他の指針として、研究者に対して、特定の幹細胞治療が治験前に安全であることを示すよう求めたものもある。
研究の種類によっては、公的な研究補助金を受ける資格が得られない場合がある。ある種の研究は政府当局もしくは大学当局の承認が必要であり、ある種の研究は全面的に禁止されている。細かい規定は、国や地域、研究組織によってさまざまである。また国によっては、研究材料や実験用ツールが特許で保護されており、研究者は実験を始める前に特許保有者から許諾を得なければならない。
World Stem Cell Mapとライス大学の研究者たちによって毎年更新される要約には、世界各地のES細胞研究の指針が掲載されている。
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